インプラントの成功率
インプラントは今や完全に確立した治療法となっています。
しかし、残念ながら、この世に100%成功する治療はありません。
今のインプラントの成功率について説明していきます。
そもそも、インプラントの成功とは何でしょう。
これはきちんと国際的成功基準というものがあります。
時代ごとに改定されていて、現在のものは1998年にトロント会議で決められたものです。
全部で4つあり、全ての条件を満たしたものをインプラントの成功としています。
インプラントは,患者と歯科医師の両者が満足する機能的,審美的な上部構造をよく支持している
インプラントに起因する痛み,不快感,知覚の変化,感染の兆候などがない。
臨床的に検査するとき,個々の連結されていないインプラントは動揺しない。
機能開始1年以降の経年的な1年ごとの垂直的曽吸収は平均0.2mm以下である。
要はインプラントが不快なく、動揺することなく、きちんと骨結合して機能することを成功としています。
国際的成功基準は10年に1度くらい改定されていましたが、近年、変更はありません。
どんどん成功基準が厳しくなりながら、これ以上はないところにたどり着いたといえます。
それではインプラントの成功率をみていきましょう。
過去にたくさんの歯科医がインプラントの成功率について論文を書いています。
1990年頃までは80%前後の成功率の論文もありました。
しかし、1990年後半になると10年成功率が90%を割るものはほとんどなくなってきます。
現在は10年成功率が95%以上とするものが主流です。
以前から上顎の方が下顎に比べ成功率が低い傾向にありますが、その差も数%となり、ほぼ差はなくなってきています。
と、ここまでインプラントの成功、成功基準、成功率の変移を客観的に書きました。
近年、10年成功率が95%を越えたころから、インプラントがどれくらいの成功率かと言う議論はされなくなりつつあります。
もちろん、より高い成功率を目指して、日々進化することは必要です。
しかし、いいものかどうか、正当な治療かどうか、という話はもう終わりです。
単に成功率だけ見てしまうと、見落としてしまうことがたくさんあります。
なぜなら、インプラント治療と一言で言っても、実際は多種多様の方法、技術、治療を受ける患者さんにも要因があるからです。
骨がたくさんあって、若くて、健康で、時間も長くかけて、と好条件であれば、成功率は限りなく100%に近いでしょう。
しかし、骨造成が必要な状態で、内科疾患ありのご老人にできるだけ短期間でインプラントをしなければならないときもあります。
多少成功率が下がっても、そのことをきちんと説明した上で、患者さんが希望されるのであれば、

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